【暮らしと本、雑誌】クウネルのこと 1

クウネル 過去の表紙

【暮らしと本、雑誌】クウネルのこと(2015年の年末までの)

マガジンハウス社の「クウネル」
最初はananの増刊号だった。4号目に創刊号となったようです。
なんとなく手に取って買ってから長い間愛読していた。

2016年の1月に突然クウネルは大きく変化してしまった。
「クウネルショック」なんて言葉が生まれたぐらいだ。
私も驚いた・・・なぜ突然?と。

購買層を変えたかったのだろうか。
それにやっぱりその変化の前の数年は購買数が伸びてなかったのかもしれないな、
私も買わない号も出てきた。最初は毎号必ず買っていたけれど。
などと考えて続き(新しく生まれ変わったクウネル)はもう手に取らなかった。
表紙にも中身にも興味を感じなかったからだ。

それで、それまでのクウネルを急いでかき集めて(家中に散らばっていた)
買わなかった号も少しあったのでそのバックナンバーを急いでネットで探して
無事に全部を本棚に並べて(しかも番号順に)ほっとした。
それを現在でも時々読み返している。少しずつ。

その魅力は?というと、私は写真にあると思う。
口ではうまく説明できないが、写真がファッション誌やそれまであったインテリア誌とは全く違うのだ。
無理して整えてないところが良い。

それから、今現在って「ものを持たない」
あるいは「持ち物を見直して断捨離する」暮らしが理想の形としてあると思うが
それではなくて前のクウネルは雑多な感じ、
暮らしのそのままが写真やその人のインタビューに表れている印象だった。

それから「広告」は入っているけれど、記事とあまり変わらない感じのトーンでさりげなく入れられている。
これは読者としては嬉しかった。
他の雑誌のあからさまな広告は途中に入っていると嫌な感じだったから。

写真もいいけれど文章も多め。これを読むのには時間がかかった。
子育てや生活に追われている主婦にとってはなかなか全部読むことができなかったので、まずはざっと見て自分の興味あるページに付箋を貼り付けて後からそこをじっくり読む、という感じで。

そして、その創刊からリニューアル、そして現在までの20年(2002年創刊)ほどの間に、
それぞれの号の好きな写真は映画のワンシーンのように自分の頭の中にしっかりと入り、
当時は問題なかった文字のサイズは今読むとかなり目に厳しくなっており、
自分が年齢を重ねてしまったことを強く感じる。

(バックナンバーはまだアマゾンで入手できる様子。さすがに創刊号やその前のアンアン別冊は定価より高めに。)

今までの20年。駆け足で過ぎた20年。あっという間だった気もするし、長かったような気もする。

特に子供たちが小さかった時は「このしんどさはいつになったら解消するのか」と思っていた。でも、大きくなったら大きくなったで心配事は増える。泣いたり笑ったりしながら過ごした20年。

そして、これからの20年は、ちゃんと20年あるかどうかはわからない。自分がどうなっているか全くわからないのだ。そう考えると1日1日を大事にしていかねばならないし、快適な暮らしになるように整えていくのがこれからの課題だ。

この20年のうちに、書店はぐんと減り、本はアマゾンで注文して簡単に素早く家に届くようになったり、電子書籍なんてものも出てきて、あっという間に「出かけて行かなくても」手元に届いてしまう時代になり、書店で発売日に手に取るワクワクする喜びの時はもうない。

この先、どうなるのかはわからないけれどきっと私はまた古いクウネルを取り出しては「ああ、このページ好きだな」と思うのであろう。本棚の前に座り込んで。

懐かしいけれど、古さは感じない。古いのは古いが雑誌に載っていたあの時のあの人たちの生活があれから1ミリも違わないでいるわけもないでしょう。
だからやっぱりあの時、あの瞬間をとらえた記事、写真、文章が好き。

雑誌はクウネルだけではなくたくさん買っていたけれど、
今はもうそういう時代ではなくなっていることも感じている。

ちょっと寂しい気持ちを抱えている。

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